高齢者がうつ病を発症した場合、通常のうつ病の症状が出にくいため、発見することが難しくなります。高齢者は、うつ病になると次第に意欲や集中力が低下し、認知機能に異常をきたす場合があります。この場合、周囲は認知症と勘違いしてしまい、うつ病の可能性が見落とされてしまいます。うつ病と認知症には、大きな違いがあります。うつ病は、ストレスなどがきっかけで発症しますが、認知症は脳の神経細胞が減少したために起こる疾患です。この違いがわからないと、うつ病を認知症と勘違いしてしまい、適切な治療が間に合わない可能性があります。介護をするときには、うつ病と認知症の特徴や違いについて知っておくことが必要です。

高齢者のうつ病では、身体的な症状が出ることもあります。胃腸の不調から、食欲不振を招いたり、不眠が続いて睡眠のリズムが崩れてしまう可能性もあります。普段は食欲が旺盛なのに、急に食事の量が減ってしまったり、夜中に起きていることが多い場合には、うつ病の可能性があるため、医師の診断を受診するように勧めることが大切です。また、その他にも肩こりがひどかったり、疲労感が強く1日の大半を横になって過ごすなど、様々な身体的症状が出ることがあります。本人も、自分がうつ病であることに気づいていない可能性があります。介護をするときには、日頃から高齢者の言動や行動をよく観察して、うつ病の症状が表れたときには、早めの対処ができるように心がけましょう。