高齢者は、若いころと比べて身体機能が衰えていきます。生活環境が変わったり、身の回りのことが一人で行うことが難しくなり、介護を必要とするようになると、その変化からうつ病を発症することもあります。高齢者のうつ病は、家族とのかかわりや介護スタッフとのかかわりで発症することも多いです。特に介護スタッフの何気ない対応が介護を受けている高齢者を傷つけることになり、そのことからうつ病となることもあるので、高齢者の心を傷つけない介護を行うことが非常に重要となります。高齢者の心を傷つけない介護のポイントのひとつは、否定の言葉を使わないということです。否定的な言葉を繰り返し使われると、高齢者ではなかったとしても不安な気持ちになります。

不安な気持ちは、行動に制限をかける他、介護スタッフに対する不信感を抱かせることにつながります。高齢者は、ときに認知症の影響などもあり間違ったことを言うこともありますが、大きな支障がない限りは否定をせずに見守る体制をとりましょう。また、安心感を抱くことができる介護をするということもポイントです。高齢者は、身体機能が衰えていることもあり、一つ一つの動作がゆっくりとしていることもあります。この際、スタッフがせかすような態度をとると、不安や不快感を感じ安心することができません。この他、できることは高齢者自身に任せるということもポイントです。自分でできることが増えると自信がついて、うつ病の予防に役立ちます。このように、高齢者に不安を感じさせず、安心できる介護、高齢者の自尊心を傷つけない介護を行うことが重要です。